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2011年8月 3日 (水)

マイホームを考えている方に②

今日はマイホーム計画コラムの2回目として
・住宅の身体性について
をテーマとしたい。

住宅の身体性なんていうとなんだか小難しくきこえてしまうが、要は私たち人間がおちついてすごせるための住宅を、人の感覚を通して考えてみようということ。
私たち設計をしている人達は、このことをヒューマンスケールでいいとかヒューマンスケールを逸脱していて・・・というような言い方をすることが多いが言いたいことは同じである。
それでは、身体的感覚にもっともしっくりとくる空間のあり方を考えてみよう。

私たちは日頃どのようにしてものを把握しているのだろうか。
例えば、子供の頃はあの駄菓子屋さんまでよほど遠く感じていたが、大人になって久しぶりに歩いてみたらこんな近かかったっけ?と思うほどだったとか、ネットショッピングで商品画像みて買ったけど送られてきたらイメージと違ってひとまわり小さかったなど、その手の感覚の違いは数え上げればきりがないほどである。

なぜこのようなことが起こるのであろうか。
先にあげたネットショッピングの商品画像といっしょに大きさが比較できるようなものが写っていたらどうだっただろうか。
もし商品を指さす手がいっしょに写されていたら、このようなイメージの齟齬は起きなかったのではなかろうか。

私たち人間はものを相対的に把握しているのである。
人類共通のメートルという単位も、地球の直径の1,000万分の1を1メートルとした相対的なものですね。
歴史的にみても、日本の尺・間、欧米のフィート・インチ・ヤールなどは人体を基準とした寸法であり、当然相対的なものである(堅苦しく考えなくても皆さん日々実践されてますよね。女性の方、身に覚えがありませんか?街に友達と買い物に行くとき、もう一人「この子には勝ってるわ!と思える人」加えていませんか・・・そして街中歩くときはその子の隣歩いて相対的効果を利用してませんか?女性は賢いですね、私も含めて男性はくれぐれもご注意を・・・)。
このように私たちの目にうつしだされている世界は、すべて人間の性質上、何らかの基準と比べられたものとして認識されるということができるのである。

私たちが住宅を設計する時は、当然前述してきたことをふまえて計画していく。
例えば、ある空間の天井の高さを考えるとする。
その空間での日常の生活を想定する。
どのような姿勢でくつろぐのだろうか、どのような動き方をするだろうか、視線の向きはどうか・・・。
そして、他の空間との相対的関係性はどうだろうか。
廊下は天井の高さをぎりぎりまで抑えて、居室に入ったときに天井の高さが(相対的に)高くなって開放感が感じられるようにしようか。
立っているときは目線の高さは壁として視線をさえぎり、ソファに座ってくつろぐときだけ視線が抜けるように座ったときの目線にあわせてガラスを嵌め込もうか・・・(雪見障子の原理ですね)。
人間のための空間のあり方を求めて設計は進んでいくのである。

人間は、内・外面問わず相対的に世界を認識する動物である。
よって、人間の生活にもっとも密接した住宅は相対的思考を縦横無尽に駆使したものでなければならない、と私は説明するのだが。
「ちょっと天井が低すぎやしませんか・・・」とお施主さんの一面的思考でバッサリ斬られて、がっかり肩をおとして修正を重ねる時も・・・


■シトー会伊万里の聖母修道院聖堂(設計:香山壽夫)スケッチ
正面下屋の高さを低く抑えることで高低のメリハリがつき端正な外観となる

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