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2016年5月26日 (木)

極北の風景 白井晟一設計 鷺宮S邸を見学して

先日、東京にて催された建築の見学会に参加してきました。
建築家:白井晟一(しらいせいいち)の貴重な住宅が
今月で解体されるということで、
急遽、見学会を開催することになったとのこと
(主催:新建 東京支部)。


僕は、たまたまSNSのタイムラインに流れてきた記事が目に入り、
なに~、白井晟一の住宅が見られるですと!
こんなチャンスはなかなかない、
これは行かねば!!と即断。
さっそく東京行きの飛行機と宿を予約しました。

っで、白井晟一っていったい誰?
っと思われた方も多いことでしょう(ごもっとも)。
詳しくはウィキを見てもらうとして
簡単に説明しますと・・・

1905年、明治38年生まれ
(誕生日は僕と一緒の2月5日。どうでもいいかw)で、
丹下健三と比較されるぐらいの人ですから
まぁ相当な建築家、大のつく先生でいらっしゃいます
(なになに、丹下さんを知らない?
建築学科で丹下を知らなかったら
モグリと言われるぐらいの超有名人。
ほら、広島ピースセンター、代々木屋内競技場、
東京都庁などの設計者ですよ。
詳しく知りたい方は、これまたウィキをごらんあれ)。


例えるならば・・・
丹下が陽なら白井が陰。
丹下が正統派で白井がアウトサイダー。
丹下がウィンドウズで白井がマック。
丹下が巨人で白井が阪神。
丹下がマンUなら白井がレスター
丹下がサッカーで白井が野球。
丹下が英語で白井がドイツ語。
丹下がビールで白井がワイン。
丹下がラーメンで白井がそば・・・
もうこの辺でw


白井晟一はもともと哲学に興味を持ち勉強した人で
建築をやり始めたのは30歳の頃からという
かなり変わった経歴の持ち主。

自邸にはトイレがなかったとか、
建築士の資格をあえて取らなかったとか
(田中角栄が制定した資格なんて要るか!
と言ったとか言わなかったとか)、
皆がコルビュジェ風のコンクリートをつくっていた頃に、
せっせせっせと石を積んで職人の手跡の残るような
重厚な空間をつくっていたとか。
身近にこんな人がいたら、
かなり付き合いづらいこと間違いなしの御仁(失礼!


現場でも、その激しい気性で完璧な空間を求めるため、
建設コストはふくらんで多くのクライアントの頭を悩ましたはず。
見学会で頂いた資料によると、
“「建築単価が高い」と断わる施主に、
「あいつは教養がない」と怒りをぶつけた。”とのことw


学会にも入らず弟子も取らずの「孤高の建築家」ですが、
(ではなく、ゆえにと言うべきか)
幅広い世代に多大なるインパクトを与え続けた
建築界のカリスマです。


ねぇ~皆さん、こんなちょっとした小話聞くだけでも
興味をそそられる人でしょう。
このような人が設計する住宅っていったいどんなんだろうって。


実は、SNSで記事を見つけて即決したわりには、
僕は、そこまで期待してなかったというとウソになりますが、
ウーン、まぁ壊されちゃうんじゃ見とかないとなぁ
ぐらいの気持ちも片やあって・・・。


だから、実際の空間を体験して、
いやぁ~、たまげた!
FBで建物に近づいてゆく様子の動画を公開していますので、
興味のある方はぜひ。)


さて、前置きはこのぐらいにしてと、写真といきましょうか。


見るからに重厚な外観でしょう。

2階の屋根は軒・けらば(三角の方ですね)ともに、1m20cmはねだしています。
屋根は約3.3寸勾配ムクリあり、仕上は銅板一文字葺き。
外壁はモルタル刷毛引き ケニテックス吹付け仕上。


内玄関の足元の巾木は、明治ミカゲ 小タタキ。
見付けは野面仕上。


内玄関入ったら、右手上方から階段吹抜けのハイサイドライト。

吹抜けと天井の見切りのアールが美しい☆


階段手摺もこの通り。
流れるように2階へのぼっていきます。

ちなみに手摺高さは72cm。


建築家はこだわるんです手摺に!

かなり、なでなでしてきましたw


はい、居間です。

下屋の出が1m50cm。
L字の平面の折れ曲がった所で、囲われた感じで庭を眺める落ち着いた空間。
左側に見える8角形の柱は、チーク練り付けの鉄骨柱。
同じく鉄骨の2階床梁が5m飛んでいるのを支えています
(鉄骨が入っているのはこの部分だけとのこと)。


照明の数は少なく、暗い方から明るい方を眺める時の気持ち良さが感じられます。


この図面が欲しかった~!
(一部の縮小図面は受付で頂けましたが・・・)


頂いた図面は、このように拡大コピーして
きりのいい縮尺に合わせます。

今回は1/100にして、開口部を蛍光ペンで塗る。
このようにしてストックしとくと、あの感じでどれぐらいの寸法だったのかな~っと
思ったときに、すっと定規当てて測れますからね。
設計は体験で得られた抽象と、寸法という具象をつなげられなければいけません。


台所です。
一部変形していますが、ざっと6m×4mほどあります。

台所入り口から入って正面にある窓が視線の抜けになり、
開放感を誘発します。


コンロ上部の吊戸と思わせといて・・・

吊戸と一体に見せる換気扇の目隠し。


玄関戸は、思わず笑っちゃいます。

取っ手が、戸の真ん中についてる・・・。
思い切ったことがすんなりやられちゃってる。
戸の上部も、戸の材料と幅を合わせて軒天まで伸びていて、
玄関扉が外壁の中に隠され、真鍮の取っ手が唯一
玄関を明示する。



こちらはお茶室、客間です。

座した時に、すっと視線が抜けるように高さが1m50cmほどに抑えてあります。


そこから蹲へつづく飛び石。


2階トイレ。


手洗いのバックガード。

天板との取り合いがアールで納まっています。
材料はマンガシロ、今で言う白ラワンです。


内庭から。

この日は生憎の雨でしたが、軒先から雨落としの溝にぽたぽたと落ちる滴が、
何とも良かったなぁ☆


雨の日は、緑も青々、濡れた石も美しいですしね。

雨の音は、心が落ち着いて個人的に好きです♪


内玄関入ってすぐのホール。
これ見て、アレ?っと思いましたか?

そう、チークの板幅がバラバラですよね。
↓こちらは、外から使う物置の板戸。
これもアレ?ですよね。

そこでスタッフの方に聞いたところ、
わざとそうしているとのこと。
その思わく如何ですけど、思い切ったことされてて
おもしろいですね~。


母堂室の枠の取り合い。

大メンの柱と鴨居の取り合いが、まぁ~細かい!


こちらも母堂室。

ホールに続く地窓。
機能はおざなりではなく、通風のことにも気を配ってますよ。


2階の子供室。
建具枠の見付けが12mmほどか。
アールがついていて留め納まりという
職人泣かせのディテールw

ちょうど腰掛けられるぐらいの高さにあけられた窓で
腰高50cmで上端が1m50cmほど。
勾配天井で、低い方が1m90cm、高い方が2m90cmほど。
天井が低く包み込まれる安心感と、
これまた照明器具の少なさよ。
入り口入ったところ(入り口前だけフラット天井)
にダウンライト1つでした
(そのダウンライトが天井板から一つながりで窪んでいる
のには驚きました。
オーダーメイドのダウンライト
ここまでやるか!という感じw)


外部の格子。




白井晟一 鷺宮S邸を見学させてもらい、
あぁ、これが極北の眺めなんだなぁという言葉が
口をついて出た。


そして、すごいものを見せつけられ、
お腹いっぱいの充実感と同時に、
底知れぬ脱力感も感じた。


ものづくりは深みにはまってゆくと
麻薬のように中毒症状を引き起こす。


いずれにせよ、学生の頃から
言われ続けられている文句だが、
建築は、雑誌やネットで眺めるものではなく
五感を通して体験しないと
本当のところは分からないもんだと
痛感させられた貴重な体験でした☆

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