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2019年4月17日 (水)

都城市民会館を見納めに①

以前から保存か解体かで揺れていた旧都城市民会館の取り壊しが決まったとのニュースを見た。
なんでも近いうちに解体工事を開始する予定とのこと。
近場では隣町の久留米市民会館に続き、菊竹建築が消えることになるのか…。
建築やっている人間としては、これは何が何でも本物を目に焼き付けに行かなけりゃいけないでしょ。
建築の最良の教科書は実物なのだ。

出発の日は生憎の曇り空、午後から雨が降り出すとのこと。
7時半ごろに自転車で鳥栖を発つ。
少し寄り道することを勘案して6hぐらいで新八代駅に到着予定。
それまで天気が持ってくれれば…。

R3に沿って南下、久留米、八女市街を通過したところでまずはここに立ち寄る。
A_1
ふーん、さっそく休憩ですか?
それにしてもよりによってこの古い建物の前でねぇ~と大多数の方が思われているでしょうね。
B_1
いやいや違うんです、この建築 八女市立花体育館を見たくて立ち寄ったのです。
近くまで来た時には様子を見に来るんです、そろそろお決まりの老朽化の話が出てきちゃいないかと心配しながら。
E_1
この建築はどうやら菊竹建築らしいのですがあまり知られていません。
僕も最初は菊竹建築と知らないで前を通った時にムムッと感じるものがあって寄ったのですが、調べてみると1967年竣工、菊竹清訓建築設計事務所(菊竹さん39歳)の設計とのことでした。
C_1 
これでもかと言わんばかりのボリュームの高低差とアクロバティックな構造(ちなみに構造はこの方抜きには菊竹建築は語れない松井源吾)。
水平線を強調する雨樋を兼ねるW型の変形梁が端部で潔く「断絶」され(磯崎新語録)極限まではね出されています。
F_1
そしてボックス状に固められ、軽く浮かせた階段。
D_1
建築家は洋の東西を問わず、階段には執念深いこだわりをみせます。

雨が気がかりなので一回りしたら早々に退散、先を急ぎます。
それから1h経過した頃、とうとう小雨が降ったり止んだりの天気に。
天気よ、なんとか熊本までもってくれ。

鹿北町に入ってすぐ、凛とした佇まいが目に入る。
先を急いではいても、気になったら立ち寄らずにはいられない。
川原谷天満宮と言うらしい。
H_1
カッコイイですよね、美しいですね。
すごく好きです、この雰囲気。
G_1
もう少し時間があれば近づいて見学したいところですが、今回はこの辺で。

さぁ、とうとう降ってきたぞという頃に熊本市街に入れました。
あぁ、焦った焦った。
ここは無理をせず新八代まで行く予定は変更、熊本から新幹線で輪行するとしよう。

とりあえず篠原一男さんの設計、熊本中央警察署をぐるり一周。
アートポリス作品の中でも露出の多い建物の一つ。
見ての通りかたちが変わっていますからね。
ちなみに篠原一男さんは数学専攻から建築畑に入ってきた方で、谷川さん(詩人 谷川俊太郎さんの父の哲学者 谷川徹三さん、宮沢賢治の研究者としても有名ですよね)の家や練馬の家(画家 野見山暁治さんの自宅兼アトリエ)など、著名人の住宅も数多く手がけられた非常に有名な建築家です。
I_1

12時過ぎに熊本駅に到着。
1
昼食は電車の中でパンを食べる。
トランドールのもちもちのチョコボールが好きなんだけど、一口サイズの割には少し高くないかいといつも買うのを躊躇してしまう。
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新幹線はやっぱり早いなぁ。
約1h、13時半には鹿児島中央駅に着。
そこから14時過ぎ発の「きりしま」に乗り換え1hほど、15時半に目的地の西都城駅に着きました。

宮崎は小雨どころじゃなく本降りの雨。
折りたたみ傘をさして輪行袋を提げ、まずはホテルへ。
自転車と不要な荷物を置き、野暮用を済ませたら(ウンコしました、はい)急ぎ足で今回の目的地、都城市民会館へ。

おぉ~、ハリネズミのような頭が見えてきた。
L_1
いやぁ~、やっと着いたぞ都城。
交通の便もあってか、予想以上に遠いな。
M_1
その分、感激もひとしおです。
J_1
片手に傘を持ちながらですが、16時から18時過ぎまでじっくり見学できました。
K_1
良いのか悪いのか、悲しいかなその間に見学者一人も見かけませんでしたが…。
S
いやいや、もう皆さんお別れには来られた後なのでしょう(そう思うことにします)。
N_1
1966年竣工です(立花体育館と同時期ですね。菊竹さん38歳)。
菊竹清訓建築設計事務所の設計、構造は松井源吾、施工は鹿島建設です。
O
日本で生まれた建築思想メタボリズムを代表する建築の一つで(肥り過ぎの建築の意じゃないよ)、RC造の躯体の上に変化可能な鉄骨造の屋根をのせています(ただ惜しいかなこのメタボリズム建築群、実際にその思惑通り新陳代謝したことがあるかと言うと…。磯崎新さん設計の現・西日本シティ銀行はうまく成長したが、この建築をメタボリズムに入れるかどうかは賛否が分かれるところだろう)。
ハリネズミ(ジブリファンにはオームに見えるらしいけど)のようなかたちは耳の内部 蝸牛から発想(機能と形態の統合を志向)とのことで、地盤の悪い敷地に対して杭基礎を集中させざるを得ないことから、扇形の鉄骨で屋根を吊って力を扇根に流す構造としているとのこと。
Q
世界的に評価されている日本を代表する建築で、保存・解体で揺れ動いたときには国際NGOイコモスが「世界的価値ある文化遺産」として警告しました。
P
だがしかしメンテナンスが不十分な建物の劣化は激しく(確かに手を入れ続けなければならないことは、一地方都市としては経済的負担が重いでしょう)、鉄筋爆裂により剥離したコンクリート片がそこら中に落下しています。
U
そこを踏まえた上でも建築畑の人間からすると、この建築を残さずして何を残すの?と言いたい気持ちを抑えがたいのが本音。
W
この「執念」の建築と呼ぶにふさわしい空間に身を置いていただければ、一般の方にも建築の力が伝わるはずと思いたいのだが…。
V
こうしたいのだからこういうディテールで納める、そこにふさわしいかたちを突き詰めたそこかしこに見て取れる「執念」の痕跡。
R
色彩計画ではグラフィックデザイナーの粟津潔さんも関わっています。
T
やはり同時期とあって、この階段は立花体育館と共通するものがありますね。
Y
この外階段の踊り場の壁をあえて独立させて見せるところにも譲れないこだわりを感じました。
X
集中して歩き回り、見て触って身体全体で空間を味わおうとした。
夕闇で薄暗くなった辺りに気づいたらどっと疲れが出た。
よし、これで見納めだ。

2日目に続く…

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