« 2021年1月 | トップページ | 2021年5月 »

2021年2月

2021年2月25日 (木)

西日本シティ銀行本店と学生時代

僕の大学時代(20年ほど前ですが)、もうすでに安藤忠雄さんは確固たる名声を築き日本のみならず世界で活躍していた。今に置き換えるなら飛ぶ鳥を落とす勢いの隈研吾さんと言った感じだろうか。学生に限らず一部の教授までが安藤語録の「ゲリラ的に」というフレーズを繰り返し口にしていた記憶がある。僕は天邪鬼のきらいがあるので、大学入って皆が髪を染めだしたりタバコを吸いだしたり髭をたくわえたりしだすと、なんかカッコ悪いからあの流れには乗りたくないなと思っていた。だから周りが安藤忠雄派になっていくのを見て、皆が安藤なら僕は磯崎と考えるようになったのも自然だった気がする。磯崎新さんはどちらかと言うと僕らより上の世代に人気の建築家で、僕ら世代ではあまり流行っていなかった。また、安藤さんと同じく「世界的!」だし、大分出身で九州に代表作が数多く建っているので手軽に実作に触れられ、その点中央の建築学生に対し地の利があるということが磯崎を選択した理由と言えば言えるか。
余暇を持て余していた学生時代は、毎日と言っていいほどよく街を散策していた。磯崎さんの難解な(建築畑では磯崎新の理論武装と言われるぐらい)本を買って読んでは、その言葉と実作を重ねることを繰り返していた。断絶、転写、反転、切断、梱包、ルドゥの柱などなど磯崎語録てんこ盛りのシティ銀行本店、色鮮やかな内部空間が目に焼きついているシティ銀行大分支店、あの薄暗いヴォールト天井が連続してのびる空間に、マリリンモンローのヌードを象った曲線(磯崎語録ではモンローカーブ)が取ってつけたようにあらわれる北九州市立中央図書館、アルミダイキャストの2本の四角柱が、山に突き刺さるように浮かぶ北九州市立美術館、正面入り口アルコーブには、偽の扉が並び配されていた冗談のような建築 秀巧社ビル…。
西日本シティ銀行本店の取り壊しが決まり、見納めに行かねばとの思いで去年の9月久しぶりに訪れた。低層部にはすでに足場が組まれていたが、まだ建物全体を見ることができた。西日本シティ銀行本店(僕の学生時代は福岡シティ銀行、建築時は福岡相互銀行)は1971年に第一期が竣工、1983年に第二期の増築がなされている。増築部には磯崎さんらしい表現で、赤い外壁にベージュの帯が入れられているので一目で分かる。駅前広場からの眺めは鮮やかな色のインド砂岩をまとった壁(磯崎語録ではシティウォール)がドーンとそびえたち、どことなくアジア的なにおいがした。
Img_4116a
日本のどこに行っても同じような駅前空間が広がる中で、九州の玄関口 博多駅を出て眼前に現れる独特の壁は、九州の建築学生としてどことなく誇らしかった。そして、こんなに自由で(今では潤沢な建築資金があってこその話と分かるが)まるでアートのような個人的表現をしてもいいんだと夢をふくらませた。
Img_4117a
あれから何十年!ときみまろのセリフではないが、建築実務を通して違う見方も少しずつできるようになった。水を吸いやすく外壁に使用するにはデメリットも多い砂岩(しかも汚れやすい割肌。特に日当たりの悪い壁に生えた黒カビを、足場を立てて洗浄しているところを何度か目にした)と目立たないように奥に追いやられて水切の役目を果たしていない笠木、これでもかと出入りの多い凸凹の外観、本当に機能的に成立していたのかと思ってしまうピストルのようなかたちの設備スペース、大通りに面して開口の少ない閉鎖的な表情と、それに伴い生じていたであろうオフィス環境の弊害、白大理石を板目で使用したマッシブでカッコイイ正面入口は、極端に幅が狭く出入りしているお客さんを見かけたことがなかった…等々、管理している銀行側、仕事をしているスタッフの立場からは言いたいことが数多あったであろう。
だから建て直しけっこう、今までよく我慢して使いこなしてくださいました…とは素直に言えないんだな。僕の学生時代の懐かしいにおい、思い出がもうたどれなくなってしまうのかと。建築が壊されると物理的なものが失わるだけでなく、そのものについた個人的な過去のつながりも同時になくなってしまうのだから。

| | | コメント (0)

2021年2月17日 (水)

ネジ固すぎでしょ

今回は自転車のホイールをメンテナンスした話です。
ロードバイクのホイールってピンキリなんですけど、そこそこ評判のいいものを買おうとするといいお値段するんです。〇万円出すと(※注:〇万円と言っても1~2万ではありません)そこそこのもの、〇十万以上出さないとなかなか満足(そのホイールに何を求めるかによって変わりますけど)いくものは手に入らないという何ともディープな趣味の世界。この世界に出入りしている人達は、ちょっとばかりお金の基準が狂っているような気がします。僕も狂っていないとは言いませんが、これ以上はおかしなことになるから…という感覚は今のところ持ち合わせております、はい。
さて、そろそろ本題のメンテの話に移りましょう。今回行ったのはホイールの軸の部分に当たるハブ(あの鉄の細い棒が放射状に出ている中心のところですね)にグリスを補給する作業です。僕のホイールはフルクラムというイタリアメーカーのレーシングゼロ。種類はアルミクリンチャーで2016年以降モデルになります。サイクルコンピュータのログを見ると走行距離7,100km(だいたい5,000kmを目安にグリスアップするようです)。作業手順はググれば数多出てきますので省略(ずいぶん投げやりだなぁ、説明がめんどくさいだけでしょ)。
まずはフロント側から作業開始。ググると2016年以降モデルのハブをばらす際に注意することとして一番初めに書かれているのがこの部分↓
A_20210217170801
先に左側のエンドナットを外したいので、右側は必ず六角レンチ及び六角スパナの二丁掛で回すこと(スパナは5㎜前後の厚さのものでないと入らないので注意。リサイクルショップで買いましょう)そうしないと右側のエンドが先に外れてしまい、そのエンドが取れたままスパナを掛けて回すと頭が簡単になめて残念なことに(はい、部品代¥7,000でございます)。
ただ今回、僕が苦戦したのはこの右側エンドのネジ。まぁ~固かったのなんの!六角レンチが捻じれるぐらいの力をかけて回そうとするのですがビクともしない。これ以上の力をかけるとレンチを差し込んでいる頭が壊れそうだったので、ひとまずクレ556をネジきり部分に流し込んで待機。その後、やっと外れました↓
B_20210217170801
こんな小さなナット外すのに2時間かかった…趣味と言えど我ながらバカらしい。
ナットが外れればあとは簡単です。
C_20210217170801
順々に部品をばらしていくだけ。
D_20210217170801
雨の日は乗らないようにしているし、もちろんバイクは屋内保管ですからグリスも白いままで綺麗なもんです。
E_20210217170801
っで、順番通りに並べて↓
F_20210217170801
シェル側の古いグリスを拭き取り↓
G_20210217170801
分解したアスクル側もクリーニングしたら↓
H_20210217170801
新しくグリスを塗り直して↓
I_20210217170801
慎重に組み立てて完了です↓
J_20210217170801
ここからはリア側になります。フロント側だけで思っていた以上に時間がかかってしまい二日にまたがってしまいました。リア側の手順はフロントとほぼ同じだし、短時間ですぐ終われるでしょと思っていたのだけどこれがなかなか…。
スプロケットがはまるフリー側はすぐにばらせたのですが(リア側はけっこう汚れていますね)↓
K_20210217170801
その反対側のエンドナットが、まぁ~固かった!フロント側でもエンドナット外すのに手こずりましたが、まさかのリア側でも。フロント側に輪をかけて固着している模様でクレ556作戦でもビクともしない。いろいろ調べてみると、固着ネジには、ワコーズのラスペネという潤滑油が効くと書かれていたので藁にも縋る思いで買ってきました↓
L_20210217170801
それにしてもこのラスペネ、どこも店頭販売してないのよ。オートバックス、イエローハット、グッデイ(DIY店)、ナフコ(DIY店)、サカモト(DIY店)と回ったがどこも取り扱いなし。困ってネット検索するとアストロプロダクツに置いてあるとの情報が(初めから検索すればよかった)。そしてようやく丸星ラーメン横のアストロプロダクツで購入できました。しかも価格がクレ556の4倍ぐらいするのよ、高すぎやろ。これで556と効果変わらずだったらどうしようかと半信半疑でラスペネ吹き付けて待機していたのだが…。
あら不思議、エイッ!と力をかけて回すと外れた↓
M_20210217170801
こんな小さな部品ひとつばらすのにどんだけ時間消費させんのよ、フルクラムさん。メンテナンス性を考慮に入れて、あらかじめ設計することの大切さは建築と同じだなぁ~。

| | | コメント (0)

2021年2月 8日 (月)

繰り返し見ること

自分のアンテナにビビッときたものは繰り返し見に行くようにしています。見に行くごとにその印象は変わります。物理的にモノ自体は変化していないので、足を運ぶたびに印象が変わって見えるのは、見ている本人が変わっているからでしょう。自らの気持ちがその時々で変化し、注目するところ、見て感じる印象、それに付随して広がる思考の軌跡が違ってくるからだろう(読書も同じで再読するたびに新たな発見がありますよね)。逆にこの変化を感じられなくなっているときは要注意で、自分が成長にしろ退化にしろ変わっていない証拠ですから、あなた少し考えた方がいいですよとその対象物から諭されていると考えた方がいい。何度も来ているから飽きちゃったなぁなどと言うことは自らが変化している限り起こりえないことなのだから。
僕が繰り返し見に行っている建築、佐世保の親和銀行本店及び懐霄館(かいしょうかん)を見に行ってきました。2月5日が白井氏の誕生日なので、僕の中では白井晟一誕生祭の一環ですね。たまたま僕の誕生日と同じなのですが、建築界のゴッドファーザーと誕生日が同じってだけで意味もなくうれしくなりますね。言わずと知れた白井晟一氏の代表作の一つで、現在の名称は合併により十八親和銀行となっています。1967年の第一期から1969年に第二期、そして1975年に第三期の懐霄館と長きにわたって築かれた大作です。
今回も自転車による建築ツーリングでルートはこんな感じ↓
11_20210208174401
ウルグアイ産黒御影の本磨き 目地無しで仕上げられた筒壁の上に、イラン産白トラバーチン(現在は仕上げが変わっていますが)の本磨きの彫刻的な量塊がキャンチで持ち上げられています。
1_20210208174401

2_20210208174401
隠れてしまっていますが、こちらはのぼれない階段として有名な白御影の袖壁に彫り込まれた装飾の階段です。幅400、踏面290
3_20210208174401
のぼった先は(繰り返しますがのぼれません)露台になっていて建物と一体となった時計があります。
4_20210208174401
第二期時は営業室へと続く入口でした。観音開きの扉になっていますが、元は白井建築でおなじみの円銅製グリル扉の引分け戸でした。
5_20210208174401
彫刻のような濃密なディテールの厚い壁に埋め込まれる入口。
6_20210208174401
こちらは軒裏のトラバーチンに穿たれたダウンライト。誰もマネできない(こんな図面引いて現場に渡したら何考えてんだ!って怒られるか誰も口きいてくれなくなるでしょう)美しいRの面取りがされています。鷺宮の住宅の解体前の見学会でも見ましたが、2階子供室のダウンライトが同じ納め方でした。
7_20210208174401
本店裏側にある第三期の懐霄館ファサード。ごつごつとした重厚感の塊のような外壁は、諫早砂岩の割肌仕上げ野積み。石の厚さは100~150㎜もあります。
8_20210208174401
そこに埋まるように挿入された赤御影 本磨き仕上げのポーチ。
9_20210208174401
側面にはリズミカルに穿たれた開口部。
10_20210208174401
1時間ほど歩き回っていただろうか。白井建築を体験した後にいつも感じる満腹感と疲労感。この頭がクラクラするような感じはいったい何なのだろう。

| | | コメント (0)

2021年2月 5日 (金)

ライドポーチは百均で

今回はサイクリングネタになります。興味のない方にはタイトルから「…?」でしょうけど。
さて、みなさんはロングライドやツーリングの時に携帯必需品のスマホやツール類はどこにしまってあります?
①トップチューブやサドルもしくはハンドルの携帯バッグに?
②いやいや、もっとシンプルにボトルケージのツールボトルの中に入れてます?
③ロング走るのならバックパック背負って行くに決まってんじゃんという方もおられるかもしれませんね。
僕の答えは…
①ロードバイクはなるべくシンプルにまとめたい方なのでバッグはつけたくない
②2ヶ所あるボトルケージの片方には輪行バッグを入れたいからツールボトルもダメ(夏はケージにスポーツ飲料を追加するので、輪行バッグはサドル裏にマジックテープで固定します)
③宿泊ありのツーリングならまだしも日帰りならバックパックは背負いたくない(カメラ背負っていくこともあるから)
っということで、この百均ポーチに↓必需品を入れてサイクルジャージの中央ポケットに携帯しています。
Imgp8963
ライドポーチやサイクルポーチの名で検索すると、各メーカーのものがずらりと出てきます。値段はだいたい2,000~3,000円といったところでしょうか。これを高いと思うか安いと思うかは人それぞれでしょうけど、僕の感覚ではただの単純なポーチにこの値段か…とちょっと躊躇してしまいます(はやく言えばケチ)。まぁサイクリングに限らず趣味用品はどんなジャンルでも割高なのは分かるのですが、その毒された金銭感覚(はい、偏見です)に染まりなくないと考えている僕としては、こんなのだったら百均さがせば同じようなの売ってるでしょと思考は巡り、さっそくダイソー行ったらやっぱりあったというわけです。ダイソーの高額商品300円なり(お客さま、こちら300円商品になりますがよろしいでしょうか?)。
中を開けるとこんな感じでパックしています↓
Imgp8964
それでは取り出して順に見ていきましょう。
Imgp8965
左側にポケットが3ヶ所あり、上のポッケにこれも百均のがま口財布と買い物した時用のポリ袋×2。左下のに緊急連絡先と血液型を裏に記入した免許証のコピー、ボロ布、バンドエイド×3、アルミホイルに包んだインナーチューブ×1、ポリ手袋×1ペア、右下のにリップクリーム。
つづいて右側のメッシュ部にコンビニでもらった手拭き×2、ポケットティッシュ、マスク、コンタクトレンズ。そして百均の防水スマホケースに携帯ツールキット、ミッシングリンク工具、ミッシングリンク×2ペア、補修用の短いチェーン、タイヤレバーをパッキング 以上。
これにスマホを挟んでジッパーをしめたら完了です。ちなみに携帯ポンプはブリジストンのゲージ付きポンプをフレームにつけています。
手で触れるものだし夏は特に汗で汚れますし、スマホや財布取り出すなど開け閉めもわりと頻繁にするライドポーチですから、使っていればそれなりに痛んできます。そんな時、百均ポーチだと気軽に買い換えられますよね↓
Imgp8966
お客さま、こちら300円商品になりますがよろしいでしょうか?

| | | コメント (0)

2021年2月 1日 (月)

いま読んでいる本

令和3年も2月に入りました。だからと言うわけでもないのですが、月初めで区切りがいいのでいま読んでいる本を↓
1_20210201105901
左上から、寺田寅彦 随筆集1→宮脇檀 父たちよ家へ帰れ→坂口安吾 不連続殺人事件→子母澤寛 勝海舟2→アダム・スミス 国富論Ⅰ
左下にうつって、夏目漱石全集→ロマン・ロラン ジャンクリストフ→司馬遼太郎 播磨灘物語(下)→涌井良幸 数学の公式・定理・決まりごとがまとめてわかる事典。
【追記 2021/2/2】
寝る前に読む枕もとの本を忘れていました↓
2_20210202115001
尾崎芳雄 市村清の生涯と白洲正子 古典の細道
市村清はリコーの創業者で僕が住んでいるところの隣町の出身。しかも僕と顔が似ているということもあって勝手につながりを感じて読んでいます。

見ての通りざっくばらん、そのとき読みたいと思った本をただ手にとって読んでいるといった感じです。あと再読の本もあって、宮脇檀さんの入門書として最適で、しかも家を建てたいと考えている方の参考(堅苦しくない参考書として)にもなる『父たちよ家へ帰れ』、好きな作家のひとり夏目漱石の全集、学生の頃に読んだ『ジャンクリストフ』の3冊は再読になります。
太宰治は来客があるときは、読んでいる本をすべて隠して目に触れるところに置かなかったとどこかで読んだことがあります。本棚を見られることでいま興味を持っていること、考えていることをのぞかれるような気がして不快だったのでしょう。机に置いてあるのはいつも聖書一冊だったと。僕の方はのぞかれても、そもそものぞくものがないのでいいのだが、頭のいい人というのは繊細なもんですね。
ちなみにブクログに本棚をつくっています。よかったらのぞいてくださいな→ykawasakiの本棚

| | | コメント (0)

« 2021年1月 | トップページ | 2021年5月 »