文化・芸術

2021年2月25日 (木)

西日本シティ銀行本店と学生時代

僕の大学時代(20年ほど前ですが)、もうすでに安藤忠雄さんは確固たる名声を築き日本のみならず世界で活躍していた。今に置き換えるなら飛ぶ鳥を落とす勢いの隈研吾さんと言った感じだろうか。学生に限らず一部の教授までが安藤語録の「ゲリラ的に」というフレーズを繰り返し口にしていた記憶がある。僕は天邪鬼のきらいがあるので、大学入って皆が髪を染めだしたりタバコを吸いだしたり髭をたくわえたりしだすと、なんかカッコ悪いからあの流れには乗りたくないなと思っていた。だから周りが安藤忠雄派になっていくのを見て、皆が安藤なら僕は磯崎と考えるようになったのも自然だった気がする。磯崎新さんはどちらかと言うと僕らより上の世代に人気の建築家で、僕ら世代ではあまり流行っていなかった。また、安藤さんと同じく「世界的!」だし、大分出身で九州に代表作が数多く建っているので手軽に実作に触れられ、その点中央の建築学生に対し地の利があるということが磯崎を選択した理由と言えば言えるか。
余暇を持て余していた学生時代は、毎日と言っていいほどよく街を散策していた。磯崎さんの難解な(建築畑では磯崎新の理論武装と言われるぐらい)本を買って読んでは、その言葉と実作を重ねることを繰り返していた。断絶、転写、反転、切断、梱包、ルドゥの柱などなど磯崎語録てんこ盛りのシティ銀行本店、色鮮やかな内部空間が目に焼きついているシティ銀行大分支店、あの薄暗いヴォールト天井が連続してのびる空間に、マリリンモンローのヌードを象った曲線(磯崎語録ではモンローカーブ)が取ってつけたようにあらわれる北九州市立中央図書館、アルミダイキャストの2本の四角柱が、山に突き刺さるように浮かぶ北九州市立美術館、正面入り口アルコーブには、偽の扉が並び配されていた冗談のような建築 秀巧社ビル…。
西日本シティ銀行本店の取り壊しが決まり、見納めに行かねばとの思いで去年の9月久しぶりに訪れた。低層部にはすでに足場が組まれていたが、まだ建物全体を見ることができた。西日本シティ銀行本店(僕の学生時代は福岡シティ銀行、建築時は福岡相互銀行)は1971年に第一期が竣工、1983年に第二期の増築がなされている。増築部には磯崎さんらしい表現で、赤い外壁にベージュの帯が入れられているので一目で分かる。駅前広場からの眺めは鮮やかな色のインド砂岩をまとった壁(磯崎語録ではシティウォール)がドーンとそびえたち、どことなくアジア的なにおいがした。
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日本のどこに行っても同じような駅前空間が広がる中で、九州の玄関口 博多駅を出て眼前に現れる独特の壁は、九州の建築学生としてどことなく誇らしかった。そして、こんなに自由で(今では潤沢な建築資金があってこその話と分かるが)まるでアートのような個人的表現をしてもいいんだと夢をふくらませた。
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あれから何十年!ときみまろのセリフではないが、建築実務を通して違う見方も少しずつできるようになった。水を吸いやすく外壁に使用するにはデメリットも多い砂岩(しかも汚れやすい割肌。特に日当たりの悪い壁に生えた黒カビを、足場を立てて洗浄しているところを何度か目にした)と目立たないように奥に追いやられて水切の役目を果たしていない笠木、これでもかと出入りの多い凸凹の外観、本当に機能的に成立していたのかと思ってしまうピストルのようなかたちの設備スペース、大通りに面して開口の少ない閉鎖的な表情と、それに伴い生じていたであろうオフィス環境の弊害、白大理石を板目で使用したマッシブでカッコイイ正面入口は、極端に幅が狭く出入りしているお客さんを見かけたことがなかった…等々、管理している銀行側、仕事をしているスタッフの立場からは言いたいことが数多あったであろう。
だから建て直しけっこう、今までよく我慢して使いこなしてくださいました…とは素直に言えないんだな。僕の学生時代の懐かしいにおい、思い出がもうたどれなくなってしまうのかと。建築が壊されると物理的なものが失わるだけでなく、そのものについた個人的な過去のつながりも同時になくなってしまうのだから。

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2019年5月28日 (火)

北九州市立中央図書館へ

磯崎新さんがプリツカー賞を受賞されましたね。
っと言っても「プリツカー賞っていったいなんぞや?」ですよね、皆さん。
ニュースなんかでは分かりやすいように例えて「建築界のノーベル賞」とよく言われています。
この受賞で日本人8人目となったわけですが(磯崎さんの師匠、丹下健三さんに始まり代官山ヒルサイドテラスが有名な槙文彦さん、皆さんご存じの安藤忠雄さん、金沢21世紀美術館が有名な妹島和世さん+西沢立衛さんのSANAA、五輪2020スタジアムコンペで最後まで隈さんと争った伊藤豊雄さん、磯崎門下生で紙の建築及び震災時の仮設間仕切りを供給される坂茂さん、そして今回が磯崎新さん)、磯崎さんは長きにわたり世界の建築界に影響を与え続けた人がゆえに遅すぎる受賞と言われています。


だからというわけではないのですが、久しぶりに(10年までは経ってないかな)北九州市立中央図書館までロングライドしてきました。
この日はかなり暑く、北九州は最高気温は31度ぐらいまで上がり暑いのなんのって。
こまめに水分補給しながら行きましたが、それでも帰宅後は硬いウンコが出ました(失礼!
往路ルートは最短コースでR3からR200に入って冷水峠を越えてR201、R322で北へ抜けるルート。
だいたい片道80キロです。

冷水峠を越えてしばらく走るといかにも北九州の景色が(僕の勝手なイメージですけど)。
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田川の香春というところにある旧日本セメント工場です。
グーグルの航空写真で見るとよく分かりますが、石灰石の採掘でかなり山が削られていますね。
あの中継地点からコンベアで運ばれて、この工場までセメントの原料が運ばれてきていたわけだ。
建築的にみると安藤忠雄さんの六甲の集合住宅、もっとさかのぼると三仏投入堂や清水の懸造。
工場建築は力強くていいね、ウンウンとしばらく眺める(建築好きと散策するとおかしなところで立ち止まる、何が面白いのかよく分からないとよく言われるけどこんなところかな?)
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さて、目的地までもう一息のところで昼になってしまった。
エネルギーがなくなる前に早めの補給が大事と、目にとまった「うどん仁兵衛」に立ち寄り。
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うどんセット(¥690)を注文。
初めて見る細くてちょっと透明がかった麺。
さっぱりした味のつゆ、後味すっきりでいい感じです。
かつ丼もフカフカの卵と相まって、うん美味いね。
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っで、このとおり。
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13時に今回の目的地に到着。
あれ、なんかきれいになってない?というのが第一印象。
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学生の頃は地の利をフルに活かそうと(中央には磯崎作品が少なく九州には多いので)磯崎空間を体験&スケッチしによく来ていましたが、こんなにきれいにメンテされていなかった印象がある。
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もしかしたら、映画「図書館戦争」でロケ地巡り客が増えたからかな(僕は観てないけど)?
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いずれにしろ、きちんとメンテされた現役の建築は気持ちがいいですね。
人と同じ、現役だといつまでも若々しい。
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しかも僕が知っているモンローカーブのカフェテリアは自販機が2台ほどにテーブル・イスが置いてあるだけだったが、おしゃれなカフェに復活しているじゃないですか。
今回は入店してないけど検索してみると「カフェ・ラポール」は2016年オープン。
障害者自立支援NPO「要会」が運営しているとのこと。
白を基調とした店内で清潔感があってなかなかいいじゃないですかと思う一方、僕の記憶では以前の真っ赤な天井だったオリジナルの色彩もモンローカーブとマッチしていて捨てがたいところ。

それから、このいい流れにのって所謂「ばえる」メニューを1,2品加えるともっといいんじゃないですか。
例えば、この特徴的な外観を模したロールケーキとかモンローカーブを象ったパンケーキとかね(関係者の方いかがでしょう)。
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内部の撮影は許可取ればオッケーと掲示されていたが、図書館でカシャカシャ音立てるのもどうかと今回は遠慮することに。
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内外ひとまわり
して外観のみスナップ。
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磯崎建築によくあらわれるカエル顔の外観(僕の勝手な命名)にプレキャストコンのヴォールト天井の空間、その一筆書きのような空間の連続と広がり。
ちょっと思ったのは原広司さん設計の宮城県図書館(1998年)は、閲覧空間とその導入部との関係が類似するものがあるなと(ちなみに北九州市立中央図書館は1974年竣工)。

1hほど滞在後、日焼け止めを重ね塗りしたら14時半に復路出発。
往路とは少しルートを変えてR296から九州国際大横を通ってR200に合流してひたすら南下。
帰りはさすがに疲れた。
残り60キロのところでガリガリ君を補給。
暑いときはこの味が欲しくなるんだよね。
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それにしても復路の冷水峠越えはかなりつらかった。
くたくたになりながら鳥栖の手前の基山の自販機で、普段は欲しくならないトマトジュースに手を出したところからもどれだけ弱っていたか分かりますね~。
18:30にやっとこさ鳥栖着。
少々脱水症状でこの後、先に触れた硬いウンコが出たというわけね、おしまい。

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2019年4月21日 (日)

都城市民会館を見納めに②

都城市民会館をあとにしたのが18時過ぎ。
そのまま夕食の美味いものさがしで牟田町の繁華街、中町の商店街をぶらぶらする。
ホテルに帰ったら思いのほか疲れていたのか、ベッドに横になりダラダラとすごしてしまい風呂に入って歯磨きして0時頃には就寝。

2日目の朝、少し早めに起きていつもの部屋の採寸スケッチ。
昨日と打って変わって晴天の予報だったので早めに出発するぞと、テキパキとスケッチをして身支度を整える。
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携帯ポンプで空気圧を調整後、2日目の活動開始。
まずは再度、市民会館を訪れ本当の最後の見納め。
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建築は壊されるともう二度と見ることができませんからね。

R10で姶良方面へ。
途中、コンビニおにぎりで朝食を手早く済ませ、山道のアップダウンを調子よく走っていたのだが…。
国分市街に入る前の登り坂の後、「下り坂8キロ エンジンブレーキ!」の看板が目に入る。
天気もこの上なく良く、身体もほどよくアップできているタイミングでの長めの下り坂。
風も最高に気持ちいいしと調子に乗って下りでも目一杯漕いでコーナーに入ったのだが、山道によくあるスリップ防止の溝で激しくハンドルを揺すられた後、突然のアスファルトの凹みを避けきれずガツン‼
鈍い衝撃ののちプッシュー、ガタガタガタ・・・・。
僕は何とかハンドルを取られまいとバランスを保ちつつ、重心を後ろに引きながらブレーキをかける。
しまった~、やっちまった~と心の中で独りごちるが時すでに遅し。
山の中でパンクしてしまったのであった。
ただ良かったのは、まだ午前中で明るくしかも快晴だったこと。
これが夕闇迫る山道でのパンクだったら…考えるだけで嫌ですね。

自転車旅ではパンクはつきもの、ちゃんと準備もしてきているし案ずることはない。
作業できるスペースまで移動してタイヤの具合をチェックすると、前輪のリム打ちパンクで済んだようでチューブ交換のみでまた走れそうだ。
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落ち着いて作業できたこともあり20分で復旧完了。
その後は安全第一でスピードは控えめに下る。
それにしても大ケガしなくて良かった良かった。

このルートを選んだのは、やはりこの景色が見たかったから。
ありきたりだけど錦江湾と桜島。
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おおらかさと迫力、この容姿がたまらない。
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そして、ブラタモリも来ていた仙巌園もね。
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こちらは、せっかくだからと中まで入って観光しました。
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この絶景じゃ、逆に景色に見とれてしまって捗らないんじゃないかと思えてしまうほどのお殿様の書斎。

仙巌園には1hほど滞在し、13時半ごろ出発。
昼ご飯は、またまたコンビニおにぎり(味気ないなぁ~、でも時間がないからしょうがないのよ)。
R10でそのまま鹿児島市街に入ったらR3からR328で北上。
鹿児島をのんびり観光した後、電車で帰ろうかなとも思ったが、心の中のリトルホンダならぬリトルカワサキが「そんなんじゃ面白くないよ」とささやき却下。

そして、また始まった山越えルート。
グネグネ道の登りが続く入来峠が思いのほか厳しかった(登りながら、鹿児島中央から輪行すれば良かったかと後悔する瞬間もありました)。
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当初、R328に沿って出水まで出ようと考えていました。
しかし、入来峠を下ったところにあるコンビニで水を補給するついでに、スタッフさんにこの先の道がどんな具合かたずねてみたところ、薄笑いをうかべながら「長い山道が続きます」と一言。
すぐに心折れました(もちろん、リトルカワサキも)。
っということで予定変更、R42で薩摩川内駅に向かうことに。
距離が短くなり心に余裕が生まれたこともあり、のどかな風景も視界に入るようになる。
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薩摩川内駅には16時過ぎに到着。
駅でお土産のお茶を買って16時50分発の「さくら」に乗り込む。
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18時には新鳥栖に到着。
やっぱり便利だなぁ、新幹線。

っで、これは何かというと今回の目的、都城市民会館の躯体片です。
剥落していたものをもらってきました(本当はいけないのかな?)
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この建築の記憶です。

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2019年4月17日 (水)

都城市民会館を見納めに①

以前から保存か解体かで揺れていた旧都城市民会館の取り壊しが決まったとのニュースを見た。
なんでも近いうちに解体工事を開始する予定とのこと。
近場では隣町の久留米市民会館に続き、菊竹建築が消えることになるのか…。
建築やっている人間としては、これは何が何でも本物を目に焼き付けに行かなけりゃいけないでしょ。
建築の最良の教科書は実物なのだ。

出発の日は生憎の曇り空、午後から雨が降り出すとのこと。
7時半ごろに自転車で鳥栖を発つ。
少し寄り道することを勘案して6hぐらいで新八代駅に到着予定。
それまで天気が持ってくれれば…。

R3に沿って南下、久留米、八女市街を通過したところでまずはここに立ち寄る。
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ふーん、さっそく休憩ですか?
それにしてもよりによってこの古い建物の前でねぇ~と大多数の方が思われているでしょうね。
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いやいや違うんです、この建築 八女市立花体育館を見たくて立ち寄ったのです。
近くまで来た時には様子を見に来るんです、そろそろお決まりの老朽化の話が出てきちゃいないかと心配しながら。
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この建築はどうやら菊竹建築らしいのですがあまり知られていません。
僕も最初は菊竹建築と知らないで前を通った時にムムッと感じるものがあって寄ったのですが、調べてみると1967年竣工、菊竹清訓建築設計事務所(菊竹さん39歳)の設計とのことでした。
C_1 
これでもかと言わんばかりのボリュームの高低差とアクロバティックな構造(ちなみに構造はこの方抜きには菊竹建築は語れない松井源吾)。
水平線を強調する雨樋を兼ねるW型の変形梁が端部で潔く「断絶」され(磯崎新語録)極限まではね出されています。
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そしてボックス状に固められ、軽く浮かせた階段。
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建築家は洋の東西を問わず、階段には執念深いこだわりをみせます。

雨が気がかりなので一回りしたら早々に退散、先を急ぎます。
それから1h経過した頃、とうとう小雨が降ったり止んだりの天気に。
天気よ、なんとか熊本までもってくれ。

鹿北町に入ってすぐ、凛とした佇まいが目に入る。
先を急いではいても、気になったら立ち寄らずにはいられない。
川原谷天満宮と言うらしい。
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カッコイイですよね、美しいですね。
すごく好きです、この雰囲気。
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もう少し時間があれば近づいて見学したいところですが、今回はこの辺で。

さぁ、とうとう降ってきたぞという頃に熊本市街に入れました。
あぁ、焦った焦った。
ここは無理をせず新八代まで行く予定は変更、熊本から新幹線で輪行するとしよう。

とりあえず篠原一男さんの設計、熊本中央警察署をぐるり一周。
アートポリス作品の中でも露出の多い建物の一つ。
見ての通りかたちが変わっていますからね。
ちなみに篠原一男さんは数学専攻から建築畑に入ってきた方で、谷川さん(詩人 谷川俊太郎さんの父の哲学者 谷川徹三さん、宮沢賢治の研究者としても有名ですよね)の家や練馬の家(画家 野見山暁治さんの自宅兼アトリエ)など、著名人の住宅も数多く手がけられた非常に有名な建築家です。
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12時過ぎに熊本駅に到着。
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昼食は電車の中でパンを食べる。
トランドールのもちもちのチョコボールが好きなんだけど、一口サイズの割には少し高くないかいといつも買うのを躊躇してしまう。
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新幹線はやっぱり早いなぁ。
約1h、13時半には鹿児島中央駅に着。
そこから14時過ぎ発の「きりしま」に乗り換え1hほど、15時半に目的地の西都城駅に着きました。

宮崎は小雨どころじゃなく本降りの雨。
折りたたみ傘をさして輪行袋を提げ、まずはホテルへ。
自転車と不要な荷物を置き、野暮用を済ませたら(ウンコしました、はい)急ぎ足で今回の目的地、都城市民会館へ。

おぉ~、ハリネズミのような頭が見えてきた。
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いやぁ~、やっと着いたぞ都城。
交通の便もあってか、予想以上に遠いな。
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その分、感激もひとしおです。
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片手に傘を持ちながらですが、16時から18時過ぎまでじっくり見学できました。
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良いのか悪いのか、悲しいかなその間に見学者一人も見かけませんでしたが…。
S
いやいや、もう皆さんお別れには来られた後なのでしょう(そう思うことにします)。
N_1
1966年竣工です(立花体育館と同時期ですね。菊竹さん38歳)。
菊竹清訓建築設計事務所の設計、構造は松井源吾、施工は鹿島建設です。
O
日本で生まれた建築思想メタボリズムを代表する建築の一つで(肥り過ぎの建築の意じゃないよ)、RC造の躯体の上に変化可能な鉄骨造の屋根をのせています(ただ惜しいかなこのメタボリズム建築群、実際にその思惑通り新陳代謝したことがあるかと言うと…。磯崎新さん設計の現・西日本シティ銀行はうまく成長したが、この建築をメタボリズムに入れるかどうかは賛否が分かれるところだろう)。
ハリネズミ(ジブリファンにはオームに見えるらしいけど)のようなかたちは耳の内部 蝸牛から発想(機能と形態の統合を志向)とのことで、地盤の悪い敷地に対して杭基礎を集中させざるを得ないことから、扇形の鉄骨で屋根を吊って力を扇根に流す構造としているとのこと。
Q
世界的に評価されている日本を代表する建築で、保存・解体で揺れ動いたときには国際NGOイコモスが「世界的価値ある文化遺産」として警告しました。
P
だがしかしメンテナンスが不十分な建物の劣化は激しく(確かに手を入れ続けなければならないことは、一地方都市としては経済的負担が重いでしょう)、鉄筋爆裂により剥離したコンクリート片がそこら中に落下しています。
U
そこを踏まえた上でも建築畑の人間からすると、この建築を残さずして何を残すの?と言いたい気持ちを抑えがたいのが本音。
W
この「執念」の建築と呼ぶにふさわしい空間に身を置いていただければ、一般の方にも建築の力が伝わるはずと思いたいのだが…。
V
こうしたいのだからこういうディテールで納める、そこにふさわしいかたちを突き詰めたそこかしこに見て取れる「執念」の痕跡。
R
色彩計画ではグラフィックデザイナーの粟津潔さんも関わっています。
T
やはり同時期とあって、この階段は立花体育館と共通するものがありますね。
Y
この外階段の踊り場の壁をあえて独立させて見せるところにも譲れないこだわりを感じました。
X
集中して歩き回り、見て触って身体全体で空間を味わおうとした。
夕闇で薄暗くなった辺りに気づいたらどっと疲れが出た。
よし、これで見納めだ。

2日目に続く…

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2019年4月10日 (水)

門司港駅へ

先日、大正時代の創建時の姿によみがえった門司港駅を見に行ってきました。
もちろん、自転車でそのプロセスも楽しみながら。
鳥栖からだと、だいたい門司港駅まで片道100キロ。
往復で単純計算で200キロになりますから、日帰りで行こうとすると結構な急ぎ足になってしまいますが、何も競争しているわけではないので急ぐ必要もなく、疲れたら輪行、電車で帰ってこればいいのです。

ってな具合で出発。
さっそく、夜須の辺りで道を間違えてR200からR438に入ってしまいしばらく山登り。
放牧中の馬が目に入ったのでちょっと休憩していたのですが、立ち止まったついでにマップを確認するとありゃりゃ…引き返すはめに。
A
道を間違えたからこそきれいな馬を見ることができたのだから、まあいいか(っと思うことにする)。
B

飯塚、直方を通ってR3に入って八幡へ。
八幡と言えば村野藤吾の建築ですよね。
以前にも何度かスケッチしに来ました。
まずは、僕の中ではガンダムのイメージの福岡ひびき信用金庫本店。
竣工1971年の建築はまだまだ現役です。
使ってこそ建築です。
いろいろと大変でしょうが次世代へ受け継いで、そして使い続けてもらいたいです。
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こちらは、今はなき1955年竣工の八幡図書館。
現存時、手すりをスリスリしに来たことが思い出されます。
E

そして保存、解体で揺れに揺れた1958年竣工の八幡市民会館。
2017年、一応保存というかたちにはなりましたが物置として残されているに過ぎず、隣に建てられた市民病院の駐車場と化し、生きているとはいいがたく死んでいるに近い印象を持たざるを得ない現状。
使われていない建築は寂しいものですね。
D

再びR3に戻って小倉を通過。
途中、目に入ったTOTOミュージアムは外観だけ眺める。
設計は梓設計、施工は鹿島建設で2017年のBCS賞をとっています。
確かによくよく見るとTOTOの設備機器のイメージが重なるようなかたちですね。
F

やっとこさ門司港駅が見えてきました。
向こうに見える手のひらを上にかざしたような建築は、黒川紀章さん設計の門司港レトロハイマート。
その隣の赤レンガのような色の建築はアルド・ロッシの遺作、内装は惜しむらくは数年前に亡くなられたインテリアデザインの重鎮、内田繁さんです(服に興味のある人にはヨウジ・ヤマモトのブティックを手掛けた人と言った方がピンとくるでしょうか)。
あと、アルド・ロッシ(実施設計は弾設計)+内田繁のコンビでは福岡の春吉に建つホテル・イル・パラッツォが有名ですね。
その他、客室を三橋いく代さん、バーのデザインを倉俣四郎、エットレ・ソットサス等、錚々たるメンバーが競演(誤変換ではなくあえて競の文字を当てましょう)して各々スペースデザインしています。

G

門司港駅に向かう前に遅い昼食。
僕の勝手な印象ですが、北九州と言えばうどんとぼた餅でしょう。
そこで、たまたま見つけた雰囲気のあるうどん屋さん「たまや」に入ったが、それが大正解でした。
H
肉うどん(大)を食べたのですが、ホロホロに煮込まれた牛スジがたんまり入っていて美味しかった!
この日は曇りで風が冷たく体が冷えたこともあり、温かい汁もすべて飲み干し大満足でした。
帰り際、TVで紹介されとの看板があったのでひょっとして有名なお店なのかな?
I

お腹も満たされたので、門司港駅に向かう道すがら門司港レトロの辺りを散策。
こちらが門司港ホテルです。
J

門司港ホテルの向こうが黒川紀章さん設計の門司港レトロハイマートです。
個人的にはアルド・ロッシの建築はウソっぽい感じがしてしまう(まぁ、それも狙いなのでしょうが)。
それから関門橋を車で通る時に、いつも遠景として眺めていたハイマート。
足元をチェックするために近くまで行ってみるが…、遠目で見ている方がこの建築は良さそうでした。
K

さあ、いよいよメインディッシュといきましょう。
今じゃこじんまりとした駅に入るのでしょうがこのシンメトリー、やはり迫力がありますね。
L
この雰囲気なんだよなぁ…やはり時を経たものでないと出せないこの感じ。
M
ただ、窓口が使われていないのが残念。
こういうちょっとしたディテールが、空間の印象が残る残らないを左右する大事なところ。
一か所だけでも開けて使っていくと、より一層雰囲気が出るんだろうけどなぁ。
N
この日は天気予報では終日、雨が降らないことになっていたはずだったが、駅を見学していると風が急に強くなり小雨が降ってきた。
こんな時は無理しないで輪行するに限りますね。
温かい電車に揺られながら、コンビニで買っておいたキットカットをボリボリ食べながら帰路につきました。

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2017年8月 6日 (日)

2万年も前にねぇ

今日の九州は台風の影響で、
少し風が強い。
あまり近くに来なければいいが…。

さて話は変わって、
九州国立博物館で開催されている
ラスコー展に行ってきましたよ。

教科書にのってましたよね、
ラスコーの洞窟壁画って。
レプリカといえど、
やはり見てみたいでしょ

そう思いながらも
レプリカだしなぁ~と
あまり期待していなかったのも事実。
しかし予想に反して
その臨場感と迫力、
壁画がすご~くリアルに
再現されていてびっくり!
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シカの頭部が連続して描かれていて、
川を泳いで渡る様子と
言われているもの↓
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不思議なんですが、
動いているように見えるんです。
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展示の見せ方もリアルなだけでなく、
照明の切り替えで
見えにくい縁取りの線刻が
浮き上がって見えるなど、
非常に分かりやすかったです
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トリ人間と言われる不思議な絵↓
トリ人間とか言われると、
なんか村上春樹の小説の世界、
ヒツジ男とか連想しちゃいますね
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壁画のほかにも
巨大なシカの頭骨や顔料絵具、
洞窟の中で使っていたであろうランプ、
石器やマンモスの牙でつくった
彫刻なども展示
(この人たちって動物の骨で
縫い針までつくってるのよ!)。
それから実際に
マンモスの牙に触れるコーナーも
ありました。
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角が岡本太郎の
彫刻の曲線みたいだなぁと
思ったりしてね↓
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クロマニョン人の人形も
気持ち悪いぐらいリアル↓
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目がすごいの。
動くんじゃないって思えるぐらい。
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ラスコー展。
壁画がレプリカということが
引っかかって期待薄だった分、
なかなかちょっとすごいじゃない。

こんな人たちが
2万年も前に生きていて、
絵描いたり楽器
(笛もつくっているんです)
を演奏したりして
人生を謳歌していたなんてねぇ~

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2017年6月26日 (月)

見えないデザイン

佐賀県立美術館に行ってきました。
現在開催中の「バロックの巨匠たち展」が、
ちょっと気になっていたんですね。

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(写真は美術館ではなく博物館の方です。
設計は内田祥哉+第一工房。
建築学会賞の建築ですが、
雨が降るたびに雨漏れしたので、
雨の日は電話をするのをためらったと
内田氏が話されていました
現在はすでに改善されているとのこと)

目玉は何と言ってもレンブラントの「襞襟を着けた女性の肖像」でしょう。
アムステルダム国立美術館で観た誰もが知るあの名作、
レンブラントの「夜警」。
その旅の思い出などを思い出しながら鑑賞しました。
薄暗い背景にふわりと浮かび上がる女性の顔。
やはり光の美しさなんだよなぁ~
ってなことを頭の中で反芻しながら味わいました。

ところで、ちょうど昼飯時に行ったせいか?
お客さんがこの上なく少ない!(失礼ながら
ですから、静かにゆったりと鑑賞できたわけなんですが、
そこで気になったことがありました。

それは空調がゴーっと鳴る音
(お客さんが少なかったので余計に音が…、
これまた失礼)。
一般人としての僕は特に神経質な方ではないで、
赤ちゃんが隣で泣こうが、
子供たちがバタバタ走ってわめこうが、
まぁ、赤ちゃんは泣くもんだからしょうがないよね、
子供たちが元気でいいじゃないと思う程度。

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(写真は吉岡徳人作、Water Block。
分厚い断面を透かしてスナップ☆)

でも、建築のこととなるとまた別で。
美術館や図書館などは設備の音には気をつけないとね、
空調の音も見えないデザインのひとつとして解決するなら、
いま以上に非日常的な空間となって
気持ちのいいものになるのでは…
などと考えてしまったのであります、はい

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2014年8月11日 (月)

あのロバート・キャパ

昨日は九州芸文館へ。
目的は『101年目のロバート・キャパ -戦場に生き、恋に生きた写真家-』
であります。
先日、ブログでも書いた九州国博へ行った際
パンフレットが目にとまり
「おっと、これは行かねば」と思ったわけです。
一ノ瀬泰造が沢田教一やキャパに憧れて戦場カメラマンを志した
あのキャパですね。
「ちょっとピンぼけ」の
あのキャパ。
人の死ぬ瞬間を初めておさめたと言われる「崩れ落ちる兵士」の
あのキャパ
(沢木耕太郎さんが「キャパの十字架」という本で
長く続く真贋論争に一つの結論を導き出していますが)。
アンリ・カルティエ=ブレッソンらと国際写真家集団「マグナム」を結成した
あのキャパ。
第二次世界大戦間際に女優・イングリッド・バーグマンと恋仲になった
あのキャパ。
数え上げると枚挙にいとまがない(もうこの辺でやめよう・笑)
まさにレジェンドという言葉がピッタリのあのキャパであります。

ノルマンディー上陸作戦の瞬間を写した「波の中の顔」や
浜辺でピカソがフランソワ・ジローにパラソルをかざす写真などなど
誰もが「あっ、これどこかで見たことある」の
あの写真の数々に心震えました。
あぁ~、来て良かった~♪

さて、お次は建物ですが
今回で2回目の訪問。
設計は世界で活躍
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの隈研吾さんです。
折り紙を三角に折りたたんで
広げたようなかたちの建物(服で言うとイッセイ・ミヤケの折り紙プリーツみたい)。
外壁のランダムに傾けられ波打っているような石や

内部空間の所々に設けられたスリットから差し込む光が

時の経過とともに変化し
いろいろな表情を見せておもしろいとは思うのですが・・・
軒裏に鉄骨の構造が無造作にドカンと出ているところなど
僕個人としては、ウーン・・・という感じのところもあって
(隈さんファンに怒られそうですが、まぁ個人の好みですね)。

一通り見てまわって、筑後船小屋駅の方からスケッチを描いた後は

船小屋温泉にゆっくり浸かって
帰路は杖を忘れて帰りましたとさ
(ケガに効くと言われている温泉には
こんな伝説がよく書かれていますよね。
僕は杖もついてませんし
もちろん、帰りも少し痛む足をかばいながら帰ったわけですが・笑)。

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2014年8月 5日 (火)

安らかな日曜日?

一昨日の日曜は、足を痛めているということもあり
前に買って机の脇に積んだままの
未読の本を片っぱしから手に取り読む。
久しぶりの安らかな日曜日の時間を過ごしましたとさ、おしまい・・・
っと書きたいところですが
そうは問屋が卸さない(笑

午前中、ブログを更新して
昼前から九州国立博物館で開催されている
「クリーブランド美術館展」へ。
大宰府まで車で片道30分もかからないぐらいですかね
近いですね~♪


けっこう久しぶりに来る九州国博。

広々とした大屋根の空間が気持ちいい~☆

設計は菊竹清訓+久米設計。
菊竹氏は僕の住んでいる鳥栖の隣町
久留米出身の方です
(久留米と言えばラーメン、アイドルだと松田聖子
歌手だとチェッカーズ、建築界では菊竹清訓
と言われるぐらい有名な人。
本当かな?チェッカーズまでは分かるけど
最後の方は・・・一般の人はポカーンかな?笑)。


だから久留米には初期の代表作と言ってもいい
久留米市民会館、徳雲寺納骨堂があります。

そして、いつものようにスケッチ(ボールペン+色鉛筆)。

駐車場からのアプローチで描いたので
人の目が多少気になり(美術館や博物館などでスケッチすると
何だかいかにもって感じで恥ずかしいんだなぁ。
誰もそんなこと気にしてないことは分かっているのだが
自意識過剰ですね・苦笑)
5分で早描き。

えっ?
ところで、足の方は大丈夫だったのかですって?
ハイ、この通り・・・

死んだじいさんが晩年使っていた
甲の部分がマジックテープで全開できるようになっている
介護用の靴を履いて行ってきましたよ
(サンダルで行こうとしたが
腫れてて足全体が入りませんでした)笑

まぁ、しかしアメリカに渡った日本美術の美しさを十分に堪能。
特に、雪村周継の龍虎図屏風には感動!!
これを観に行くためなら痛む足を運ぶ
否、引きずってゆく価値あり(笑

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2012年5月 7日 (月)

GWは近場で

ゴールデンウィークだからって
世間で言ってる
(特に、お暇な昼のワイドショーのあおり方といったら!)
海外出国や大渋滞で観光地へ行ったわけではない
地味な私ですが、何か・・・(笑

と言いつつも、家でダラ~リとすごすことができない
時は金なりの貧乏性の私。
まぁ、それなりに動いたわけでして・・・。

まずは、佐賀県の神崎にある九年庵
ここは、年に2回(春と秋)一般公開されている
佐賀の実業家・伊丹弥太郎の別荘。
茅葺の屋根に化粧垂木の風雅な建物に
九年の歳月を費やし築いた6800㎡の庭園。

朝方降っていた雨が止み
パッとしない曇り空の中
自転車でプロセス楽しみながら
片道1時間のエッチラオッチラ♪
ちょうど着くころには、カラリと晴れた空が
顔を出しました。









九年庵を出たら
お隣の仁比山神社の樹齢800年以上の楠木を見上げ

ちょっぴり湿って、ふわふわやわらかい樹皮をなでなで・・・。

そして、近くの伊東玄朴旧宅に立ち寄り

縁側に座って涼む。
少し汗ばんだ肌にそよ風が気持ちいい~。

日付変わって5日は
ラ・フォル・ジュルネ鳥栖2012へ。

去年も行って楽しかった「ラ」
(甥の略し方。長い名称がわずか一字に!)
に今年も行ってきました。

この日も晴天でカラリと晴れた青空。


出店がたくさん出ていて、すごい賑わい。


オープニングセレモニーでは、川井郁子さんが登場。


鮮やかなターコイズブルーのドレスでめちゃ綺麗でした。


30分以上並んだかいがありました。

その後、夕方からのクレール=マリ・ルゲのピアノを聴いて
おなかいっぱいで大満足!

これからもずっと続けてほしいな。
音楽を身近に手軽に楽しめる「ラ」を♪


お父さんの肩の上で聴く音楽はどんな味?


もう最高だわ!
あんまり気持ちよくて
なんだか眠くなってきちゃった・・・

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